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睡眠科学センター

人間の行動を総合科学として基礎から応用まで研究。
睡眠を軸に新たな産業分野の創出を目指しています。

 20世紀は科学と戦争の世紀でした。新世紀は心の時代と言われています。実学としての工学も21世紀を迎えて変貌しています。人間は「衣食足りて礼節を知る」といわれますが、20世紀の工学は自動車に代表されたように大量生産、大量消費の物作りでした。21世紀は心を豊かにする工学の時代です。

 足利工業大学には工学部でありながら、人の睡眠現象を研究テ−マに据える教員がかなりの数います。たぶん日本で一番多いと思います。睡眠研究の専門家集団をまとめた研究組織が睡眠科学センタ−です。

 人間の睡眠といえば、医学や心理学のテ−マと思われている方が多いと思います。しかし、最近の睡眠研究は総合科学としての側面が強くなってきました。

 例えば、チェルノブイリの原発事故、スペ−スシャトル「チャレンジャ−」の爆発事故などは、人間の不眠が原因と言われています。医療事故、居眠り運転による交通事故は昼間の認知機能の低下が直接の原因ですが、間接的には夜の睡眠習慣が大きく関わっていることが最近あきらかになりました。

  1. 現在行なっている研究テーマ
  2. REM睡眠からストレスを評価する方法の開発
  3. REM睡眠の記憶過程に関する研究
  4. 意識活動の遺伝的要因に関する研究
  5. 運動や入浴による睡眠改善効果の研究
  6. 居眠り防止器の開発
  7. 非接触センサ−による睡眠の記録法の開発
  8. 床ずれ(褥そう)を改善する介護用ベッドの開発 等

 これは人間工学や労働科学(Ergonomics)の問題です。夜の日本列島を人工衛星が撮った写真で見ると、どこの国より明るいそうです。この夜間照明は密かに人の行動パターンや心に影響を与えています。これは医学、心理学の問題であると同時に、社会工学や環境工学の問題です。

 このように、人間の睡眠を取り巻く学際的な研究は、医学はもちろんのこと、生体工学、人間工学、環境工学、福祉工学、情報工学、健康科学、社会学、経済学にまで及びます。足利工業大学にはそれぞれの専門家がおり、活発に研究を推し進めています。

また、人間の睡眠行動を研究する装置や施設が整っているのも本学の特徴です。例えば、日本に数少ない隔離実験室(Isolation Units)や人工気候室があります。Isolation Unitsは人間の睡眠覚醒リズムを長期間観察できる実験施設室で、外部からの時間情報を完全に絶ってしまえるような実験が可能です。この実験室で生活すると、脳内に生物時計の特性を調べることができます。

 このように、人間の行動を総合科学として研究するところが睡眠科学センタ−です。睡眠の基礎研究から応用研究までを行い、その中から、新しい技術が次々と誕生しています。この新技術を生かした、睡眠工学関連産業という新しい産業分野を切り開こうとしています。

睡眠科学センターへのお問い合わせ

睡眠科学センター(睡眠について)
TEL:0284-62-0605(内線274)
E-mail:toshi@ashitech.ac.jp