HOME > News&Topics 2013

阿南先生が平成25年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰
若手科学者賞を受賞しました。

本学、機械・電気工学系 阿南先生が平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において若手科学者賞を受賞しました。


−科学技術分野の文部科学大臣表彰について−
科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として、文部科学省では毎年、科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めています。


阿南先生からのメッセージ

 このたび、平成25年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を拝受いたしました。この賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者を表彰するというものです。今回の受賞対象となった業績は、「大型テンタゲート式水門の動的安全化のための研究」というものです。これまで取り組んできた研究で、このような表彰を頂いたことを心より嬉しく思っています。
 研究の対象であるテンタゲート式水門というのは、ダムの水をせき止める水門の一種です。長い間、この水門は振動等を引き起こさない安全な水門であると考えられてきており、特に大型のダムでよく使用されています。日本でも数百基が使用されています。
 このテンタゲート式水門が、微小開度で放水をしているときに振動を引き起こし、一瞬のうちに崩壊するという事故がいくつか報告されています。同じような事故を未然に防ぎ、長期的な安全性を確保することがぜひ必要であるという観点から、研究を進めてきました。
 その中で、テンタゲート式水門が持つ二種類の固有振動が、比較的簡単に連成することを突き止めました。その結果、ある条件下で強烈なフラッターと呼ばれる振動現象を引き起こすことを明らかにしました。このように、テンタゲート式水門はこれまで考えられてきたような安全な水門ではなく、大変危険な振動を引き起こしやすい性質を本質的に備えていることを見出しました。理論的な解析とモデル実験、実際に使用されている水門を用いた実験を併用し、大型水門の流体関連振動問題の特性を明らかにしています。
 この理論によって世界で初めてテンタゲート水門系のダイナミックスにおいて力学的相似則が見出されました。こうして、テンタゲートの大きさに関係なく適応可能な安定性指標が求められましたので、これは水門の設計や施工に大きく貢献できる、きわめて有用なものと言えます。
 現在は、どうすれば世界中で多数使用されている重要インフラでもある大型水門の長期的な安全運転を確保できるのか、ということを視野に入れて研究を進めています。このような研究が、将来の私達の安全なくらしのために、大きく貢献できると考えています。  最後に、これまでの研究活動にご理解とご協力、ご支援をいただきました多くの皆様に深謝いたします。